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南三陸の石

南三陸01

これは石です。成分はわかりませんが表面はとてもすべすべサラサラでとても触り心地が良いです。南三陸の歌津崎の近くの海岸で拾いました。
 2011年の8月に南三陸町に仲間と慰問演奏に行き、まだ営業している宿もほとんどない中、ニュー泊崎荘という宿にお世話になりました。朝、少し時間があったので宿からフラフラと散歩に出かけ、畑を抜けて林を降りてゆくと一気に視界が広がって海に出ました。
南三陸2
とても美しいこぢんまりした海岸で、確かに自分の背丈の3倍はあろうかという所に潮をかぶって枯れたような植生の境目があったり、土砂が剥き出しになっている所などもあって、ここで何が起きたのか想像できないわけではなかったのですが、あまりに穏やかで陽の光を受けてどこまでもキラキラしている海面にハァ〜とため息をつきながら見とれていました。
南三陸3

足元を見ると海岸には珍しい?川石のような石がずっと続いていて、よく見ると色も形も様々で、ひとつふたつと拾い上げているうちに気がつけばしゃがみ込んで、途中で誰かが来たことにも気がつかないくらい、まるで貝殻を探しまくる小学生のように石探しに没頭していました。
南三陸4

例えば砂浜にしゃがみ込んでうつむいて砂を掘っている時に波打ち際なのに遠くに波音を感じて自分の周りだけ殻をかぶって時間が止まっているような、あの独特のフワフワした感覚を懐かしみながらこの石を手にとった時、一瞬その殻を破ってザンとリアルに大きい波音がして思わず怖くてキッと顔をあげました。でもそれは、確かにさっきよりは大きかったね、という程度の波で、当たり前のように引いていき、さっきと変わらずキラキラな水面に戻っただけでした。でも僕はこの石を握りしめて海を見据えたまま動けませんでした。津波はさぞ怖かっただろうと、初めてその恐怖を推し量れたのでした。どんな音だったろう、どんな色だったろう、どんな衝撃だったろう、波に揉まれ打ちつけられ溺れ、いやそんなもんじゃない、と思うと恥ずかしながら足が震えて立てませんでした。
 しばらくして、と言っても1分やそこらだと思いますが、我に返ると、この石は握りしめていた冷汗で濡れていて、ああそうかこいつはその一部始終をここで見ていたのだろうなと思い、持って帰ることにしました。以来パソコンのキーボードの横に置き、ちょうどマウスを廃止したこともあって、時々このスベスベ石(ホントに気持ちいい(^^))を撫でるようになりました。
 あまりお金もないし実際は毎日自分や家族のことで精一杯なので、何かを送ったり頻繁に通ったりなどはできないのですが、せめて思い出すこと、に、この石は一役買っています。全ての傷ができるだけ癒えますように。



.11 2014 コメント0

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